桜鱒太郎のセパリスト  ~もっと身近に、生物多様性。~

  • 2011/05/28

次号から連載コラムを担当することになりました、CEPAジャパン記者の桜鱒太郎と申します。

雑誌編集長からフリーのジャーナリストになって3年。全国の有機農家さんを取材し、里山における農業のあり方を考えてきました。そして、多くのカリスマ農家と呼ばれる人々に出会ううち、一つの面白い共通点を見つけました。

 

それは生きものたちと会話をするということです。鳥や小動物はもちろん、野菜や花に話しかけ、虫や土とも会話をしています。
彼らは口を揃えて言います。みんな人間とコミュニケーションをしたがっているのだと。一見、変人にも見える行為ですが、何十年も自然の中に身をおき、雨や風の動きを感じながら生活している人だからこそ、そんな感性が芽生えたのかもしれません。
『奇跡のリンゴ』で有名なリンゴ農家・木村秋則さん、食味コンクールで連続金賞の米農家・石井稔さん。テレビで見ただけですが、彼らも虫や稲に向って話しかけ、話を聞き、農作物を作っていました。さらに、編集者時代から環境問題にのめり込んでいた私は、取材を通して知った環境界の大御所たちも同じ傾向があることを思い出しました。言葉を話す話さないは様々ですが、みんな生きものとコミュニケーションをとっていたのです。

 

 

ここに生物多様性に向けた大きなヒントがあると思います。 耳をすます。コミュニケーションをする。自然を支配するのではなく、自然に教えてもらう。彼ら自身になって感じるということです。無限に続く広大な宇宙の中の、同じ惑星に住むお隣さん同士として、リスペクトし合うということです。

時代は今、セパリストを求めています。 セパリストとは生物多様性の重要性を、その生き様を通して伝えている人々です。人間のためだけでなく、地球上のあらゆる生きものたちを敬い、持続可能な社会を作ろうとする人々。たとえば、生きもののサンクチュアリを必死で守る人々、生態系を活かした自然農法を行う農家さん、野生動物の救護をする獣医さん…。 彼らの日々の行動がいくつもの命を育み、人間との共生を実現しているのです。このコーナーでは毎月1回、そんな素敵なセパリストを紹介していきます。

 

PROFILE
桜鱒太郎
CEPAジャパン記者。生物多様性をメインテーマとし、環境保全のプレイヤー、有機農家、地域コミュニティなどへの取材を通し、人間がどのようにしたら自然と共生していけるのかを模索し、提案している。

CATEGORY : COLUMN

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