国連生物多様性の10年
70億人のために、生物多様性の主流化へ向けた第一歩
-国連総会で採決「国連生物多様性の10年」-
生物多様性市民ネットワーク(2010年12月22日発信のプレスリリースより)
2010年9月から開催されている第65次国連総会は、2011-2020年を国連生物多様性年とする決議「生物多様性条約」を、12月20日(米大陸東部時間)に採択した。
最終的な決議の内容はまだ明らかでないが、決議案(添付資料参照)によれば、その内容は10月に名古屋で行われた生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)およびカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)の成果を積極的に評価し、それを全世界での実施につなげるよう決定するものである。遺伝的資源へのアクセスと利益の分配(ABS)に関する「名古屋議定書」、生物多様性保全のための戦略計画の現状に基づいた改訂である「愛知目標」、資金運用計画、輸入された遺伝子組み換え生物による生態系被害への責任と修復に関する「名古屋・クアラルンプール補足議定書」、TEEB(生態系と生物多様性の経済学)などを挙げ、愛知目標と生物多様性条約の3つの目標の実施のために、2011-2020年を国連生物多様性の10年と宣言することを決定するという内容であり、CBD-COP10での採択内容と大きく変更はないものと考えられる。
この「国連生物多様性の10年」は、私たち生物多様性市民ネットワーク(CBD市民ネット)及びIUCN日本委員会の提案を日本政府が受け取り、日本政府から生物多様性条約会議を通じて提案した議題である。条約の枠組みを超え、他の条約、国連の資金、プログラム、機関を通じ、また、CBDの締約国となってない国も含め、企業、NGOなど世界中のあらゆるセクターが力を合わせて、条約の決定事項を10年という期間を見据え、腰を据えて取り組むことが目的であった。
上記の決定はCBD-COP10/MOP5の成果すべてを支える枠組みとして国連生物多様性の10年を位置づけるものであり、CBD市民ネット、IUCN日本委員会、日本政府の提案の趣旨に沿った形で採択されたものであり、正当に評価することができる。
しかし、この決定は単に枠組みを作っただけのものであり、これまでの多くの「10年」のような行事やイベントのための仕組みにしてはならない。そしてそのために、大切なことは、まず日本国内で、政府・地方自治体・NGO・地域団体・企業などすべてのセクターがそれぞれの立場で、愛知目標を中心とする今回の締約国会議の成果を広く知らせ、実現する努力とそのための仕組みの確立であり、また、同時に国連と協力し、また各国の人々と協力して取り組みを推進することが大切である。
私たちの前にある課題は大きいが、共に取り組む人々・団体・機関の輪が広がっていくことを切に願っている。
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生物多様性条約事務局作成提供(7月30日)の戦略シート(PDF 日本語)はこちらもご覧ください。(IUCN-J 提供)